
日本文化に興味があると、その伝統を守る仕事に就いてみたいと考えることもあるでしょう。
そこで本記事では日本の伝統に関われる仕事の中から着付け師、ツアーガイド、伝統工芸職人、庭師の4つを紹介します。

着付け師
お客さまに着物を着付けたり、着付けに関する技術や知識を教えたりするのが、着付け師の仕事です。
ライフスタイルの変化に伴い、日本の伝統文化でもある着物を着る機会は減少し、自分で着物を着られる人も減ってしまいました。
着物文化が廃れないよう、着物の知識や着付けの技術を活かして、着物文化を守りその魅力を伝えているのが着付け師です。
着付け師の多くは、呉服店で着物のアドバイザーやコーディネーターを兼ねていたり、ブライダル会社、美容室、フォトスタジオなどで働いていたりします。
教室を開いて着付けのレッスンをする人もいます。
着付け教室では着物の着方だけではなく、礼儀作法や立ち振る舞い、着物の手入れの仕方など、着物に関するさまざまな知識と技術を教えます。
着付け師は、着物文化を守り継承するためのプロフェッショナルでもあるのです。
必須の資格はありませんが、着付け師に関する資格には職業能力開発促進法に基づいて実施される「着付け技能検定」があります。
1級、2級がありますが、受検するためにはどちらも学歴に応じた実務経験が必要です。

ツアーガイド
ツアーガイドは、その土地に訪れた人に特色、歴史、文化、自然などを説明・案内する仕事です。
よく似た仕事にツアーコンダクターがありますが、こちらは旅行者に付き添い、チケットの手配、トラブル対応、ホテルのチェックインなど、旅程のサポートを中心に行っています。
ただし旅行会社や地域によっては、ツアーコンダクターがガイドの仕事を兼務していることもあります。
ツアーガイドはその場所を案内することで、地域の魅力を伝え、より印象深い思い出を作ることで、旅行者の体験を豊かにしたり、訪れた場所を深く理解できる手助けをしたりします。
そのためには土地の歴史、地理、文化、風習など、地域の背景に関する知識が必要です。
とくに日本国内でガイドをするためには、日本文化をしっかりと理解し、説明できることが重要でしょう。
ツアーガイドは日本文化を伝える役割も担っている仕事なのです。
就職後、経験を積んでフリーのガイドとして独立する場合もあります。

伝統工芸職人
伝統的な技術や技法を用いて、主に手作業で作られた作品を伝統工芸品と呼び、これを製造するのが伝統工芸品職人です。
伝統工芸品には、織物、陶磁器、漆器、木工品、金工品など、さまざまな種類があります。
それぞれの地域、文化に根ざした日用品であるのが特徴で、芸術的な美しさだけではなく「用の美」を兼ね備えています。
伝統工芸職人になるために、必要な学歴や資格はありません。
多くの人は興味のある分野の作業所で見習いとして働き、技術を身につけます。
その後独立して自身の工芸品を製造していく場合もあります。
職業訓練校や芸術系の大学、専門学校などで、基礎を学ぶことも可能です。

庭師
庭を新たに造ったり、維持管理をしたりするのが庭師です。
庭師は住宅、商業施設、寺社仏閣、公園など「庭」や「緑」があるさまざまな空間で、植物を植えたり、剪定や草刈りなどの手入れをしたりしています。
とくに日本庭園を造る仕事や、歴史ある庭園を維持管理していく仕事は、伝統的な作庭技術に支えられています。
たとえば日本庭園でよく見られる竹垣は、シュロ縄という紐で結束されていますが、これは実用性だけではなく、意匠も加味された独特な結び方が採用されています。
また日本庭園の手入れでは、人為的ではない自然な美しさを感じられる景色を創り出すことに重点をおいていますが、これは長い歴史の中で経験則として生み出されてきた細やかな剪定技術によって実現されています。
庭師の仕事は、日本の伝統文化を継承していくことでもあると言えるでしょう。
庭師になるために必須の資格や学歴はありません。
経験を求める会社もありますが、それ以上に必要とされるのは主体性、判断力、コミュニケーション能力など、他業種でも培うことができるスキルです。
実際に京都で寺社仏閣や町屋の庭造りと維持管理を中心に行っている会社では、求める条件として仲間と協力することや、責任感をもって積極的に取り組むことなどを挙げていて、造園業での経験を必須項目にはしていません。
日本文化を守り継承している庭師は、誰でもチャレンジできる仕事なのです。

造園業に就くには?
庭師をはじめとする造園業に興味をもっても、実際に自分が働いていけるのか、不安に感じることもあるでしょう。
そういったときには、まず求人情報をチェックして、実際の仕事内容や必要なスキルを確認してみるのがおすすめです。
さらに造園、エクステリア、みどりに関わる仕事専門の求人サイト「みどり求人ナビ」なら、それぞれに合った仕事を見つけられる就転職サービスを受けることができます。
経験の有無や各種条件を入力するだけで、希望の仕事を見つけられるので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。

まとめ
日本の伝統に関われる仕事には、着物の着付けや知識を伝える着付け師、観光客にその土地の案内をするツアーガイド、伝統工芸品の製造に携わる伝統工芸職人、庭造りや手入れをする庭師などがあります。
どれも日本の伝統文化を継承したり、広めたりすることの一翼を担っている仕事です。
日本文化に興味があり、伝統を守る仕事に就いてみたいときには、ぜひ選択肢に加えてみて下さい。