
造園業の求人情報をチェックしたり、造園会社のホームページを見たりしていると、歓迎される資格や社内の資格所有者として「造園技能士」が掲げられていることがあります。
この造園技能士ばどんな仕事をして、どんな場所で活躍しているのでしょうか。
そこで本記事では造園技能士の概要や仕事内容、どんな場面で活躍しているのか、詳しく解説します。

そもそも造園技能士とは?
さまざまな職種で働く人たちが、それぞれにもつ技能を一定の基準で検定し、それを国として証明する「技能検定」という制度があります。
この技能検定の造園職種に合格すると得られるのが、造園技能士の資格です。
造園職種の技能検定では、設計図に基づいて実際に造園工事をするために必要な知識と技術をもっているのかを問われます。
造園技能士は、造園工事をする上での専門的で幅広い知識をもち、それを実行する技術をもった人たちなのです。
日本の庭園は長きにわたって、宗教、文化、歴史、思想など、さまざまな分野を凝縮し、まとめた総合芸術として発展、伝えられてきました。
造園技能士はこれらを継承する担い手でもあります。
技能検定の造園職種は1級、2級、3級に分かれていて、等級によって求められる技能レベルや、検定の難易度、受検資格などが異なります。
3級は初級、2級は中級、1級は上級レベルの技能を有することを証明してくれます。
上級技能をもつ1級造園技能士は、造園業に関してトップレベルの知識と技術をもつ人とも言えるでしょう。

造園技能士が活躍できる現場とは?
造園技能士は、庭をつくったり、庭木の手入れをしたりするのが主な仕事です。
活躍の場は庭だけにとどまりません。
公園、公共施設やオフィス、商業施設、緑地、街路樹など、さまざまな場面で造園空間をつくったり、それらの維持管理をしたりしています。
造園技能士が扱う樹木や草花は、日々生長して姿を変えたり、季節によって異なる姿を見せたりします。
美しい景観をつくったりそれを維持したりするためには、将来どのような空間になるのかを想像し、それに合わせた設計や維持管理をすることが必要です。
造園技能士は、専門的な知識をもち、それをもとにした的確な判断と技術で、これを可能にしていると言えるでしょう。
造園業を含めた建設業では、一定規模以上の工事を請け負う際に、建設業許可を受ける必要があります。
この建設業許可を受けるための要件の1つとして、専任技術者の配置が義務づけられています。
1級と2級造園技能士はこのうち、一般建設業許可における専任技術者に該当しています。
建設業許可を取得していると、大規模な工事を請け負えるだけではなく、対外的な信用につながったり、公共工事を請け負いやすくなったりします。
また地方自治体や国が発注する、公園や公共施設の整備、河川や道路の維持管理などの工事では、入札の参加資格条件として造園技能士の配置を挙げている例が見られます。
そのため、専任技術者たる造園技能士は、住宅の庭づくりや手入れなどの身近な工事から、大規模な造園工事や公共工事まで、幅広く活躍していると言えるでしょう。
私たちの暮らしのなかにある、緑あふれるさまざまな造園空間は、造園技能士によって支えられているのです。

造園技能士以外で緑に関われる職種とは?
造園技能士は、庭、公園、緑地、街路樹など、さまざまな緑をつくりだし、それを維持管理していますが、造園技能士以外にも「緑」に関わる仕事はたくさんあります。
たとえば同じ造園工事の現場で働く、造園施工管理技士はその1つです。
造園技能士が実際の施工に関する技術者であるのに対して、造園施工管理技士はその名のとおり、工事を管理監督する、施工管理の技術者です。
造園施工管理技士は、建設業法に基づいて行われる、造園施工管理技術検定合格者に与えられる資格で、1級と2級があります。
造園工事において、施工計画や施工図を作成したり、工事の品質、安全、工程などを管理したりするのが主な仕事です。
造園施工管理技士は管理者という立場で、造園技能士とともに、緑溢れる空間をつくりだしています。
街路樹剪定に関する専門的な知識と技術をもった人に対して、一般社団法人日本造園建設業協会が資格認定する「街路樹剪定士」もまた、緑と関わりが深い仕事です。
美しいまちの景観を形成する街路樹を守り育てるためには、樹木の特性や生育環境を理解し、長期的で総合的なメンテナンス計画を立てることが欠かせません。
街路樹剪定士は、剪定の技術に加え、街路樹の機能や効果を最大限に発揮させることができる能力を兼ね備えた、まちの緑のスペシャリストと言えるでしょう。
また街路樹剪定士は、1級造園技能士であれば実務経験がなくても受験できます。
街路樹剪定士は、造園技能士と関わりの深い仕事なのです。
なお建物の外周り空間を意味するエクステリアを設計したり工事監理をしたりするエクステリアプランナーも、緑と関わることができる仕事です。
エクステリアプランナーは公益社団法人日本エクステリア建設業協会が認定登録する資格で、1級と2級があります。
現在、多くの地方自治体では景観条例やまちづくり条例などで、緑化や美しい景観づくりを推進しています。
周囲の景観との調和を図りながら、緑豊かで快適な空間づくりを提案し、つくりだすエクステリアプランナーはまさに、緑と深く関わることができる仕事と言えるでしょう。

まとめ
造園技能士は、国が実施する技能検定の造園職種合格者に与えられる資格です。
検定では設計図に基づいて実際に造園工事をするための知識や技術をもっているかを問われます。
造園技能士は庭づくりや庭木の手入れといった身近なものから、公園、緑地、街路樹など大規模で公共的な工事まで、幅広いフィールドで活躍しています。