造園業でも必要なアスベスト対策やその知識とは

アスベストとは

アスベストによる健康被害が社会問題になったことを覚えている人は多いでしょう。

社会問題となったきっかけは、アスベスト建材の製造メーカーが従業員やその家族、工場の近隣住民に肺がんや中皮腫の発症者が見られ、死亡者もいることを公表したことです。

アスベスト
アスベストは、漢字で「石綿」と表記され、自然界に存在する繊維状けい酸塩鉱物です。アスベストの繊維は極めて細かく、耐熱性や耐薬品性など多くの優れた特性を持っていることから、工業製品の原材料として多く使用されていました。

アスベストの健康被害
アスベストは、ばく露から長い期間を経て、肺の疾病を引き起こす可能性があります。アスベストを吸引して発病していても、進行するまで症状が出ないケースも珍しくありません。

どのくらいアスベストを吸引すれば発症に至るかは不明とされていますが、長期間にわたって、高濃度のアスベストにさらされた人は、発症率が高い傾向です。

アスベストのばく露が原因で亡くなる人は、年々増加傾向にあります。アスベストが大量に使用されていた時代、仕事をする中でアスベストにばく露された人達が、今後も発症することが想定されています。

また、アスベストは、一般の人々の生活に身近な物にも多く使われているため、不安に感じる人もいるかもしれません。

一般の人が使う建造物であっても、アスベストの繊維が浮遊する状態であれば危険であるため、不安な人は、建築時の工事会社や管理会社に問い合わせ、アスベストの危険性が無いことを確認することで安心できるでしょう。

現在、アスベストは全面禁止
アスベストは、日本で社会問題になる前から危険性が認識されていました。1970年代以降、何度も法が改正され、アスベストの規制措置は強化されてきましたが、平成18年からはアスベストの製造や輸入、使用などが全面禁止になっています。

造園業でアスベストに気を付けるシーン

造園業においても、アスベストが原因で病気を患い、労災認定されたケースがあります。

発病者は、蛇紋岩を粉砕したり、粉砕物をダンプカーに積む作業をしたりする際、アスベストの粉塵を吸引したことが病気の原因と認定されました。

造園業でアスベストが原因で労災認定された当事者でさえ、アスベストを吸引していた事実を知りませんでした。造園業とアスベストは、関連の無いように思われがちですが、造園業に従事する労働者は、造園業でアスベストに気を付けるシーンを認識しておくべきでしょう。

蛇紋岩の加工時
アスベストは、造園業が扱う庭石にも使われている蛇紋岩にも含まれています。蛇紋岩とは、名前の通り、蛇の皮を思わせる模様を持つ岩で、表面には光沢があります。研磨された蛇紋岩はとても美しく、庭石として人気です。

労働者は、蛇紋岩を加工する際、アスベスト対策が必要である他、蛇紋岩の風化によって繊維状のアスベストが飛散することも知っておきましょう。

庭の設置物を切断、解体する時
アスベストは、建築物に使用されている他、庭に設置されている物にも含まれている可能性があります。

例えば、コンクリートブロックに関しては、コンクリートブロックそのものにアスベストは含まれていませんが、塗料や仕上げ材にアスベストが含まれているかもしれません。過去に販売されていた塗料の中には、アスベストが含有されている商品がありました。

また、過去に作られたカーポートや車庫は、アスベストが含まれている可能性があるため、解体の際には注意が必要です。

バーミキュライトを使用する時
園芸や緑化工事の際に使われることのあるバーミキュライトは土壌改良資材として有名です。しかし、バーミキュライトにも不純物としてアスベストが混入している可能性があることを知っておくべきでしょう。

造園業のアスベスト対策は?

アスベストが飛散する危険性のある現場で作業する際、作業員のアスベスト対策は必須です。造園業にも、アスベストの危険にさらされる業務が含まれているため、アスベスト対策が求められます。

マスク
アスベストでできる対策の一つがマスクです。造園業でアスベストが原因で労災認定されたケースでは、作業員はマスクの必要性を知らなかったため、マスクを使用していなかったことが明かされています。

一般的なマスクではアスベストを防ぐ効果は期待できないため、防じんマスクを着用しなければなりません。

専門技術や知識を持つ
アスベストが使用されている建築物を解体する際は、特別な技術を要する分、価格も高くなります。解体工事を手掛ける企業は、事前調査、調査結果の説明や掲示、届け出、除去作業、後片付けなど、通常の解体とは異なる工程が求められます。

庭に設置されたカーポートや車庫なども同様で、アスベストが含まれる物を解体する際は、専門的な技術や知識を用いた特殊な方法で工事を進めなければなりません。

まとめ
造園業の業務でも、アスベストが含まれる物と接することがあるため、造園業の従事者にとってアスベスト被害は他人事ではありません。まずは、造園企業がアスベストの危険性について認識する必要があるでしょう。

さらに、造園企業は、労働者にアスベストの危険性や対応方法を教育しなければなりません。企業は、労働者の健康を守る義務があるといえるでしょう。