造園業は身体が資本!病気やケガをしてしまったら…
造園業や建設業は体力勝負の仕事ですが、ケガをするリスクは他の業種よりも高いといえるでしょう。また、元気で働いている人も、突然思わぬ病気に見舞われることがあるかもしれません。
病気やケガで働けなくなった時、生活費や治療費の不安が頭をよぎる人は少なくないでしょう。
治療で休む時は会社の傷病手当金をもらう
傷病手当とは、健康保険に加入している労働者がプライベートにおける病気やケガによって会社を休まざるを得ず、会社から十分な報酬を得られない時に受給できる給付金です。建設業に従事している人の場合、建設業のための健康保険があります。
労働者は、待機期間として3日間の連続した休みが必要で、待機期間を経た後に傷病手当金を受給できます。傷病手当金の支給期間は、支給開始日から1年6ヶ月です。1日あたりの金額は、直近12ヶ月の標準報酬月額を平均した額÷30日×3分の2の計算式で出します。
なお、被保険期間が12ヶ月に満たない場合は、労働者の被保険期間における標準報酬月額の平均額または、被保険者の標準報酬月額の平均額のどちらか低い額を算定します。
仕事中のケガは労災の申請をする
労災は、労働者が仕事中や通勤中にケガをした時に支給される保険金です。労働基準法によって、労働者を雇用する事業主は、労災保険への加入が義務付けられています。労働者は、仕事中にケガをしたら、労災の申請手続きをしましょう。
働けなくなったことを考えて民間保険でカバーしよう
造園業を含め、危険が伴う仕事に就く労働者は、ケガや病気で働けなくなる可能性を認識しておかなければなりません。造園業で働く人は、様々なリスクを考慮し、民間保険でカバーできるように準備しておくのが賢明です。
入っておきたい医療保険
民間の保険会社が提供する医療保険に加入しておくことで、労働者は病気やケガで治療や入院をした時に保険金を受け取れます。
保険加入者は、保険金を治療費に充てられるので、生活への影響を抑えられるでしょう。また、医療保険といっても様々な種類があるので、自分に必要なタイプを選べます。
就業不能保険で治療中の生活費をカバー
民間の保険会社が扱っている商品の中に、就業不能保険があります。就業不能保険は、ケガや病気の治療が長期にわたって必要となり、働けなくなった時の収入減少に備えるための保険です。
医療保険や傷病手当などは、生活費や治療費を補うのに十分でなかったり、支給期間が決まっていたりして、長期的な備えには不十分な面があります。
就業不能保険も、保険会社によって保障内容や条件が異なる場合があるので、加入を検討している人はよく比較した上で決めましょう。
1ヶ月あたりに必要なお金はいくら?
総務省統計局による2020年の家計調査報告によると、2人以上の世帯における1ヶ月の消費支出は、1世帯あたり平均277,926円になっています。
参照:総務省統計局「2020年家計調査報告」
https://www.stat.go.jp/data/kakei/
生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査(速報版)」によると、入院時の医療費等への備えとして必要と考える疾病入院給付金額の平均は、全体で日額タイプ9,700円、一時金タイプ24.3万円です。
参照:生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査(速報版)」
https://www.jili.or.jp/files/press/PR_web.pdf
病気やケガをしたり、働けなくなったりした時、誰もが国の公的保障制度を利用できますが、治療費や働けなくなって減った収入分をカバーできるほど保障は十分ではありません。
公的保険制度によって、小学生から70歳までの人は医療費の3割が自己負担となりますが、高額療養費制度によって1ヶ月あたりの自己負担が一定額を上回った時に超過額分が返ってきます。
上限額は年齢や収入によって異なりますが、例えば現役世代の会社員で標準報酬月額が28万円以上50万円以下の場合、80,100円+(医療費-267,000円)×1%の計算式で出る値が自己負担限度額です。
さらに負担を軽減する仕組みも設けられていますが、いずれも食費や差額ベッド代、先進医療にかかる費用などは高額療養費制度の対象にならないので患者の自己負担となります。
傷病手当も、働いている時に得ていた所得よりも少なくなることは避けられません。
多くの人が貯金や公的保障だけでケガや病気の治療費を捻出したり、生活費を賄ったりするのは難しいのが実情です。もしもの時に備え、造園業に従事する人は民間保険に加入しておいた方が安心でしょう。
まとめ
日本では、公的保障も充実しており、民間保険の必要性を感じていない人もいるかもしれません。しかし、公的保障だけでは不十分な場合が多いのが実情です。
年齢や就いている職業、労働形態などによって、ケガや病気のリスクも変わりますし、家族構成によっても働けなくなった時の生活への影響が違ってくるため、個人でリスクを把握した上で民間保険に加入し、もしもの時に備えておくことは大切です。
造園業の場合、独立する人も珍しくありませんが、会社に属している人と個人事業主では受けられる保障が異なることも念頭に置いておくべきでしょう。
例えば、個人事業主として造園業を営む人は、国民健康保険に加入するため、傷病手当金が受給できません。また、労災保険に関して、建設業の一人親方も特別加入できますが、本来の労災保険は労働者でない人は加入できない保険です。
個人事業主は、会社員よりもリスクに対する備えをしておくと安心です。特に、医療保険や就業不能保険はもしもの時に役に立つでしょう。