造園業で起こり得る事故とは|災害事例も解説

造園業で起こり得る事故

造園業は高所の作業が多いことや、泥などで滑りやすい状況で働くため業務中の事故が多い業界です。造園業で起こり得る事故をそれぞれ解説します。

転落事故
造園業での転落事故は重大な安全課題です。造園業では、脚立を使って高所での作業が頻繁に行われるため、転落事故に特に注意しなければいけません。

転落事故は、不安定な脚立や転落防止装置を使用しないことが原因の1つです。脚立が傾いたり不適切に設置されたりすると、作業者が高所から転落する可能性が高まります。転落防止装置を正しく使用しない場合も同様です。

対策として、安定した足場を確保し、転落防止装置の適切な使用を徹底することが必要です。高さが2mを超える場合は、作業前、作業中、作業終了後に定期的な点検を怠らないようにしましょう。これにより、潜在的な危険を早期に発見し、修正できます。

さらに、高所作業車の使用に関しても慎重に計画することが重要です。どの高所作業車を使用するのか、作業車を操作するのは誰なのかなど、作業計画を明確にし作業者間でコミュニケーションをとることが事故の予防に役立ちます。

転倒事故
造園業での転倒事故は、さまざまな要因で発生します。特に足下の状態が悪い現場や、転倒した先が危険な状態にあることが転倒事故の要因の1つです。造園業では自然環境での作業が一般的で、地面が不均一で滑りやすい場所もあります。そのため、作業者が転倒するリスクが高いです。

他にも、床の段差や凹凸も躓きの原因となります。庭園や公園の整備中、地形の変化に伴う段差や不規則な地形が作業現場に存在するため注意しなければいけません。

また、泥などの滑りやすい表面での作業が多いことも、転倒事故の要因となっています。湿度の高い環境や雨天時では、足下が不安定で滑りやすい状況での作業は注意が必要です。

転倒事故を防ぐためには、安全な足場や道路の確保、段差や凹凸のマーキング、不安定な場所での作業時の特別な注意、滑りやすい場所での適切な安全対策などが不可欠です。作業員は安全意識を高め、適切な装備と訓練を受けることが、転倒事故の予防に大きく貢献するでしょう。

積み荷の落下
造園業では、積み荷の落下事故も発生します。積荷をトラックから移動する際、誤って荷物を落とすケースがそれに該当します。積み荷の取り扱いでは、誤操作や荷物の不安定性により、事故が発生することがあるのです。

積んだ時点では安全に見えても、トラックが走行する際の振動や道路の状況により、積み荷が不安定になる可能性は否定できません。そのため、運搬中にも安全確認が必要です。

また、定期的な安全確認は欠かせません。作業開始前、作業中、トラックの停車時など、積み荷が安全に固定されているかどうかを確認することが重要です。

玉掛け作業員は、フックに荷物を掛けたり外したりする役割を果たしますが、この作業は事故に巻き込まれる可能性が高いため気を付けなければいけません。玉掛け作業員は特に慎重に作業を行い、安全装置や適切な技術を使用する必要があります。

積み荷の落下事故は、作業員の安全に大きなリスクをもたらすため、積み荷の適切な固定と定期的な安全確認が不可欠です。また、玉掛け作業員は特に高い警戒が求められます。積み荷の取り扱いに関するトレーニングや安全対策の徹底が事故予防に寄与します。

造園業で起きた災害事例

実際に起きた災害事例を2つ紹介します。どのような状況でどのような事故が起きたのかを知ることで、今後の対策に生かしましょう。

植木の枝切り作業中に脚立から転落
造園業で発生した事故の例として、小学校の枝切り作業中の転落事故が挙げられます。

社長Aからの指示を受けた作業員B、C、Dの3名は、小学校の庭園での枝切り作業を行うために派遣されました。被災者Bは高さ6mにもなる大木の枝切りを担当しており、この作業は高い危険性を伴う作業です。

事故は、作業開始から約1時間後に発生しました。被災者Bが作業中、不安定な作業場所で転倒し、作業員Cが発見します。被災者Bは救急医療を受け、1週間後に死亡しました。

この事故の原因は、作業場所が不安定で転落防止装置を使用していなかったことが挙げられるでしょう。また、安全措置の指示や計画が明確でなかったため、作業員たちは適切な対策を講じられませんでした。

この事故は、安全意識の不足や適切なトレーニングの欠如が事故の原因となり、悲劇的な結果を招いた事例です。安全対策と作業計画の徹底が欠かせません。

経験1カ月で危険な高所作業し負傷
経験1カ月で危険な高所作業で負傷した事故の具体例を紹介します。事故当日は、経験わずか1カ月の作業者が高さ10mを超える木の剪定作業を行っていました。

事故は、移動式クレーンの先端部分での作業中に発生しています。経験1カ月の作業者は、2丁掛けの安全帯を使用するべきでしたが、1丁しか装着していませんでした。その結果、高所から転落し、10m下に重度の障害を負うことになります。

この事故の原因は、未熟な経験者に高所作業を割り当て、適切な安全対策を講じなかったことが挙げられます。また、安全帯の正しい装着も怠った要因の1つでした。

事故の影響は深刻で、元請けの会社と同社の社長は書類送検されました。この事故は、作業者の安全教育と訓練の不足、適切な作業配分の重要性を再確認させるものです。高所作業など危険な作業に従事する作業者は、経験と訓練に基づいた安全対策が欠かせません。

まとめ

今回の記事では、造園で起こり得る事故にどのようなものがあるのか解説しました。木の剪定作業などで脚立の上で作業することが多いため、転落事故が挙げられます。また、現場の足場が悪いことも多く転倒作業なども多い事故として挙げられるでしょう。

さらに、トラックの積み荷が落ちる事故もあるため注意が必要です。実際の災害事例を2つ紹介しているため、事故が起こる状況としてどのようなものがあるのか参考にしてみてください。