【2024年最新版】街路樹剪定士になるためのフローは?受験資格や合格難易度も解説

街路樹剪定士とはどんな仕事?

街路樹剪定士は日本造園建設業協会が発足させた「街路樹剪定士認定制度」で認定される民間資格で、造園業の会社などに所属して街路樹の剪定を行います。

都市空間で育つ街路樹は、周りの建物や人々の生活と共存することが重要です。

そのために街路樹の剪定では、ただ枝を切り落とすのではなく街路樹としての機能を理解した上で、その効果を充分に発揮できるような剪定をしなければなりません。

樹木は種類によって生育に適する環境や生長の度合いが異なります。それぞれに合わせた剪定の手法や時期を見極めることも街路樹剪定士の仕事です。

また1本ずつの街路樹がきれいに整えられることも大切ですが、街路樹は連続して植えられることが多いため、全体の統一感も重要でしょう。

近年、街路樹管理のコストを削減するために剪定の頻度を減らした結果、大がかりな剪定をまとめて行うことで景観を損ねてしまった事例も存在します。

こういった事例を避けるために、街路樹剪定士による見本剪定や常駐を義務化する自治体や、街路樹管理業務の入札参加条件として「街路樹剪定士の有資格者を剪定作業中、常時現場に配置できること」と明記している自治体も出てきています。

街路樹の剪定について専門的な知識と確かな技術を持つ街路樹剪定士の仕事は、今後ますます需要が高まっていくでしょう。

街路樹剪定士試験の受験フロー

街路樹剪定士の試験は、研修会を受講してから認定試験を受験する流れです。

まずは全国の造園建設業協会支部単位で行われる研修会に参加しましょう。

研修会の日程は支部によって異なりますが、基本的には学科研修と実技研修が1〜3日にわたって行われます。

次に研修終了後、同日または翌日以降に行われる認定試験を受験しましょう。

試験は学科試験と実技試験があり、実施する支部によって2日に分けて行われるところもあるのでご注意ください。

合格後に登録認定手続きを行うと「街路樹剪定士」として認められます。

街路樹剪定士の受験資格

街路樹剪定士の受験資格は、研修会の受講と認定試験受験で異なります。

研修会は受講資格がなく誰でも受講できますが、支部によっては研修会に定員を設けている場合があるので注意しましょう。

一方で認定試験は、受験資格に該当していないと受験できません。

まず街路樹剪定士の試験は、研修会と労働安全衛生法に基づく「フルハーネス型墜落制止用器具の特別教育」を受講している必要があります。

それに加えて1級造園技能士の資格、2級造園技能士で資格を取得後2年以上の剪定業務経験、樹木の植栽工事か剪定業務で合計7年以上の実務経験、のいずれかに該当していなければなりません。

街路樹剪定士認定試験の内容

街路樹剪定士の認定試験では、研修会の内容から出題される4者択一式問題の学科試験と実技試験が行われます。

学科研修と認定試験の具体的な内容は、街路樹に関する基本的な知識、剪定、病害虫の防除、植栽基盤の整備、工事の安全衛生管理についてです。

街路樹剪定士は、街路樹が植えられた場所の立地条件を考慮した上でその樹木が街路樹としての機能を充分に発揮できるような「街路樹目標像」を設定し、それを実現できなければなりません。

そのため剪定と安全衛生管理については、基礎知識に加えて診断能力、対策立案能力、実行能力が、病害虫の防除と植栽基盤整備については基礎知識と診断能力が求められます。

これはたとえば剪定についてなら、樹木の種類や特徴を踏まえて街路樹の状態を判断、どのような手法で剪定するかを決定、実行するといったことです。

このほか試験を実行する支部ごと、独自の事例について出題されることもあります。

実技試験は剪定と安全衛生管理が主な内容です。

剪定道具の使い方、剪定部位、仕上がりなど実際の剪定技術だけではなく、安全衛生面から装備、服装、枝の下ろし方などについても判定されます。

街路樹剪定士の認定試験では、街路樹剪定に関わる専門的で幅広い知識と技術が問われると言えるでしょう。

街路樹剪定士の合格率と受験難易度

少し古い資料ですが、2008年度に行われた街路樹剪定士試験の合格率・全国平均は91.9%、2012年度で81.7%でした。

近年は全国単位の合格者数は公表されていませんが、長野県造園建設業協会が行った街路樹剪定士試験の合格率は、令和2年が83.3%、令和3年が86.7%なので、街路樹剪定士の合格率は80~90%程度と考えられるでしょう。

学科試験は、直前に開催される研修で学んだ内容が出題されます。また受験にはフルハーネス型墜落制止用器具の特別教育の受講や1級、2級造園技能士の資格、所有資格に応じた関連業務の実務経験が必要です。

街路樹剪定士の試験は難易度が低いと言うよりは、ある程度の専門知識と技術を持った人が受験するため、合格率が高いと考えられるでしょう。

参考:日本造園建設業協会 平成20年度事業報告
https://www.jalc.or.jp/information/pdf/20-05.pdf

参考:埼玉県造園建設業協会 平成24年度 日造協資格制度の実施報告書
https://www.saizoukyo.or.jp/syokusaikiban/katuyoujirei.pdf

参考:長野県造園建設業協会 令和2年度・令和3年度 事業報告
https://www.zoen-nagano.com/about/images/2020_houkoku.pdf
https://www.zoen-nagano.com/about/images/2021_houkoku.pdf

まとめ

街路樹剪定士は確かな剪定技術と、樹木の性質や機能、街路樹に関するさまざまな知識を持つ、街路樹剪定のエキスパートです。

専門知識や技術を活かして、街路樹の健康と美しい景観を守るのが街路樹剪定士の仕事と言えるでしょう。

認定試験の前に行われる研修は誰でも参加できますが、受験には研修の受講とフルハーネス型墜落制止用器具の特別教育の受講、1級、2級造園技能士の資格、所有資格に応じた関連業務の実務経験が必要です。

街路樹剪定士認定試験の合格率は高いですが、専門性が高い内容のため難易度は決して低くありません。しっかりとした知識と技術を身につけてから資格取得に臨みましょう。