公園の指定管理者制度とは?公園運営の仕事内容や管理事例も解説

近年注目を集めている公園の指定管理者制度。造園業の会社も多く参入している公園の運営管理について紹介します。

指定管理者制度とは?

指定管理者制度とは、公園、スポーツ施設などの公共施設に関して民間の事業者に管理を委託する、地方自治法上の制度です。

この制度は、2003年に地方自治法が改正されて始まりました。従来は公共的な団体に限定されていた公共施設の運営管理が、民間事業者を含めた幅広い団体に委ねることが可能になったのです。

指定管理者制度は、民間事業者がもつノウハウを活かして、新しいさまざまな企画を立案したり効率的な運営をしたりすることで、サービスの向上や経費削減につなげることが目的です。

しかしこの制度は地方自治体や利用者だけではなく、公園の指定管理者になり得る造園業の会社にとってもメリットがあります。

公園の指定管理者に選定されれば、安定した収益源や大きな実績になります。地域での認知度や社会的な信用性の向上にもつながるでしょう。

指定管理者制度は、公園の運営管理において委託者、受託者、利用者全てにメリットがある制度なのです。

指定管理者の選定基準や指定期間は、地方自治体、対象施設などによって異なります。

また多くの地方自治体では、指定管理者制度を導入した施設に対してモニタリングや運営状況の評価を行っています。

これは施設の目的にそった適切な管理がなされているか、必要なサービス水準を満たしているかなどの状況を把握するためです。

公園運営管理の仕事内容

公園の運営管理では、維持管理業務、施設利用に関する業務、公園の利用促進のための業務など、さまざまな仕事を行います。

それぞれの仕事内容について、詳しく見ていきましょう。

公園の維持管理に関する業務
利用者が安全で快適に過ごせるよう、公園の維持管理を行います。

具体的には公園内の樹木の剪定や伐採、芝生・花壇などの管理、草刈りなどです。日々の清掃や遊具の安全点検、修繕も欠かせません。

公園内にある管理事務所や運動施設の維持管理も、公園の運営管理の仕事です。

自然公園では、公園内の自然環境や生息する動植物を守る活動も行います。

公園内の施設に関する業務
公園内の施設に常駐して、施設の利用申し込みや予約の受付、使用料の管理などをするのも、運営管理の仕事です。

施設を運営するための書類作成といった事務作業も必要でしょう。

施設利用者やボランティアスタッフの対応、案内、電話応対などもあわせて行います。

公園利用促進のための業務
公園をより身近に感じて気軽に利用できるよう、さまざまなイベントや展示を企画することも、公園の運営管理業務の1つです。

公園で行われるイベントは、自然環境について学べるだけではなく、公園と地域、人と人の絆を生む場にもなる貴重な機会です。

イベントは企画から実施までをトータルで関わる場合が多いでしょう。

またWebサイトやSNSを通じて、花の開花情報やイベントの詳細など公園の情報を発信する広報活動も行います。

公園の指定管理の事例2選

実際に指定管理者制度を導入している公園でどのような管理が行われているのか、具体的な事例を2つご紹介します。

東京臨海広域防災公園(西武造園様)
江東区有明にある東京臨海広域防災公園は、大規模災害発生時に緊急災害現地対策本部として機能する防災公園としての役割と、通常の都市公園として憩いの場を提供するという2つの側面を持ち合わせている公園です。

西武造園は2010年からこの公園の指定管理者として、通常の公園管理に加え、防災意識の向上や公園の魅力を高めるためのさまざまなイベントも実施しています。

「ぼうさいモーターショー」はその一環で、警察、消防、米海軍などの関連機関と連携して、防災関連車両を展示しました。

また職員の意識向上のために毎月、防災訓練も行っています。

地域との連携を深め、緑のコミュニティを育む環境としての花壇を整備、そこで手入れの方法を学ぶ講座も開催しています。

東京臨海広域防災公園の管理は、公園に求められる機能に柔軟に対応した内容と言えるでしょう。

神奈川県三ツ池公園(石勝エクステリア様)
三ツ池公園は桜の名所として名高い公園で、かつて灌漑用のため池だった3つの池を中心とした自然豊かな公園です。

野球場やテニスコートなどの運動施設、多目的広場、大型遊具などさまざまな施設も備えていて、健康づくり、レクリエーション、自然観察など、多種多様な体験ができる場として地域の人々に親しまれています。

石勝エクステリアは神奈川県公園協会、サカタのタネGSグループと共同で、三ツ池公園の維持管理やイベントの開催を行っています。

開催されているイベントは、さくら祭りや「さくらマスター講座」の開催、健康増進プログラムの企画など、地域の人々が気軽に参加できるものが多いのが特徴です。

また水辺の環境づくりのために外来種の駆除や稀少植物の調査をしたり、桜と樹林の保全・再生のために「未来につなげる桜樹再生計画」と「樹林地管理計画」の策定したりと、公園の自然環境を保護することにも積極的に取り組んでいます。

三ツ池公園の管理は、利用者のニーズと周辺の環境に配慮した内容だと言えるでしょう。

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まとめ

公園の指定管理者制度とは、従来は地方自治体が行っていた公園の維持管理を民間の事業者に管理を委託する、地方自治法上の制度です。

具体的には植物の手入れ、清掃、遊具の安全点検と修繕などを代行したり、施設で利用者の応対をしたりしています。

また公園内で行われるさまざまなイベントを企画・実施したり、WebサイトやSNSを通じて公園の情報を発信する広報活動をしたりすることも大切な仕事です。

公園の運営管理は、多様化する利用者のニーズに応え、誰もが安心・安全で快適に過ごせる空間や時間を提供することと言えるでしょう。