【2024年最新版】植栽基盤診断士認定試験とは?受験資格や勉強方法を解説

近年、植物の生育不良や枯死が問題になっていますが、これらの原因は固い地盤や排水不良といった、土壌環境に問題がある場合が多いと考えられています。

そこで今回は、植物の基盤となる土壌の調査、診断、改善のための処置を行い、植物の健全な生育を手助けする「植栽基盤診断士」の資格を紹介します。

植栽基盤診断士とはどんな資格?

植栽基盤診断士は、社団法人日本造園建設業協会が認定している民間資格です。

植物は通常、地面に根を張り地中から水分や養分を吸収して生きています。また幹、枝葉、茎などの地上部が空中に伸びていくためには、地中でしっかりと根を張り支えることが欠かせません。

この植物が根を張っている土の部分を「土壌」や「土層」と呼びます。

植栽する場所、すでに植栽されている場所の土層が、この条件を兼ね備えているのかを調査・診断し、改善のための提案や処置を行うのが植栽基盤診断士の仕事です。

植栽基盤整備の重要性への認識が高まる中、質の高い技術者を育成していくために植栽基盤診断士の認定制度は創設されました。

植栽基盤診断士は、植栽基盤や土壌だけではなく、植物、植栽についての幅広い知識と経験も持ちあわせた「植物が良好に育つ土壌環境を整える専門家」なのです。

試験の難易度と合格率

植栽基盤診断士の認定試験の合格率は公開されていません。

日本造園建設業協会が公表している2023年度の合格者数を見てみると、後述する植栽基盤診断士補研修会の修了試験合格者が127名、植栽基盤診断士学科試験合格者が64名、実地試験合格者が61名でした。

植栽基盤診断士の認定試験を受けるためには、造園施工管理技士や造園技能士などの資格や実務経験が必要ですが、これらの資格を取得するのも決して簡単なことではありません。

難易度が高い資格を保有していないと受験できない植栽基盤士の認定試験もやはり、難易度が高い試験だと考えらるでしょう。

受験資格

植栽基盤診断士の認定試験を受験するためには、下記の3つの条件を満たす必要があります。

植栽基盤診断士補であること
植栽基盤診断士補は、植栽基盤診断士認定試験を受ける前に参加する研修で取得できる資格です。

研修会を受講するために必要な資格や条件はありません。受講申し込みをして研修会に参加し、修了試験に合格すると「植栽基盤診断士補」に認定されます。

また研修会は不定期で開催されていて、全国各地で行われています。

開催地やスケジュールは日本造園建設業協会のホームページで随時更新されていますのでご参照ください。

一般社団法人日本日本造園建設業協会 健やかなみどりのために 「植栽基盤診断士」
https://www.jalc.or.jp/syokusai/syokusai03.html#page01

関連業務の実務経験があること
植栽基盤診断士の受験には、関連業務の実務経験も必要です。

ここで言う関連業務とは、植栽基盤整備に関する業務か、植栽に関する調査、設計、施工、管理の業務で、これに該当する実務経験が2年以上なければなりません。

関連資格を所有していること
植栽基盤診断士の認定試験を受験するためには、関連資格とそれに応じた実務経験が必要です。ここで言う実務経験は、造園に関する調査、設計、施工、管理を指します。

下記の表に該当資格と実務経験年数をまとめましたのでご参照ください。
|該当資格|実務経験年数|h
|1級造園施工管理技士|-|
|2級造園施工管理技士|資格取得後2年以上|
|1級造園技能士|-|
|2級造園技能士|資格取得後2年以上|
|樹木医|-|
|技術士n建設部門(都市及び地方計画、建設環境)n森林部門(林業・森林土木)n環境部門(自然環境保全)n総合技術監理部門|-|
|シビル コンサルティング マネージャ(RCCM)n(造園部門)|-|
|登録ランドスケープアーキテクト(RLA)|-|
|そのほか|造園に関する調査、設計、施工又はn管理の実務経験10年以上|

試験内容と対策方法

植栽基盤診断士の認定試験は学科試験と実地試験があります。

学科試験では植栽基盤、土壌、植物に関する知識や、基礎的な土壌診断とその処方についてが問われ、マークシート式の4者択一式20問と、計算・記述式問題が1問出題されます。

実地試験は学科試験合格者のみが対象で、土壌断面、土性・土色、化学性、土壌硬度、透水性の土壌診断5項目を含めた総合的な内容を問う口頭試問式です。

また実地試験前に、これまで経験した植栽基盤整備の事例について、植栽・土壌の課題やその解決策、結果をまとめたレポートを提出しなければなりません。

試験勉強には、日本造園建設業協会から出版されている「植栽基盤整備ハンドブック」や「植栽基盤調査-調査の手引き-」が役に立つでしょう。

これらの書籍は日本造園建設業協会のホームページから購入できます。

また学科試験については、試験が始まった2003年度分からの全過去問が一般社団法人日本造園建設業協会のホームページで公開されています。

試験内容を把握するためにもぜひ、過去問に取り組んでみると良いでしょう。

日本造園建設業協会東京都支部や関東甲信総支部では、実地試験や学科試験対策として準備講習会を開催しています。

独学だけでは難しい、学科試験の記述式問題や実地試験対策として参加するのがおすすめです。

まとめ

植栽基盤診断士は、植物の基盤となる土壌の調査、診断、改善のための処置を行い、植物の健全な生育を手助けする土壌環境の専門家です。

簡単に取得できる資格ではありませんが、取得すれば専門性が高まり、造園業の仕事の幅を広げることができるでしょう。