個人経営をしている造園業の雇用形態
造園業にも色々な規模の会社がありますが、中小規模の企業が多いと言われています。
中〜大規模の造園業ではハローワークや求人誌、求人サイト等を通して求人募集をしているため、給料や労働時間など雇用条件も明示されています。福利厚生も整っており、会社の規模に見合う数いる職人達にとっても安心して働くことのできる環境と言えるでしょう。
職人の世界では、仕事を覚えるためにまずは見習いから入るというイメージがありますよね。確かに見習い期間や試用期間を設けている造園会社もありますが、中〜大企業においては見習い、試用期間の雇用形態、見習い期間や給料など、全てがしっかりと明示されています。
一方、小規模な造園業では個人や家族で経営している場合が多いです。少人数での労働はしっかり指導してもらえ、慣れると人間関係においても仕事をやりやすいというメリットはありますが、デメリットもあります。
小規模な造園業は身内、知人からの紹介の他、労働希望者の直接の問い合わせなどを通して採用することも珍しくありません。しかし、大企業ほど雇用条件が明確にされていなかったり、福利厚生が整っていなかったりというデメリットも存在します。
また、給料の手渡しや内定、雇用条件の口約束など、昔ながらのやり方から変わっていない造園会社も見受けられます。見習い期間や雇用形態などを含めて、雇用条件自体が曖昧な場合もあります。
このような会社は、どんなに面倒見が良く社員思いの会社でも今で言うブラック企業と言われても仕方ない側面を持っているのです。
もちろん小規模であっても雇用契約や保険等しっかりしている造園会社はありますから、一概に小規模な造園会社は危険というわけではないので、求職者も見極めなければなりませんね。
そして経営者側も時代にあわせて社員を守っていかなくてはいけません。
雇用契約書とは?
ブラック企業と見なされないためにも、小規模な造園業や職人も雇用契約書が必要です。今では規模や業種を問わず、多くの企業で雇用契約書の作成が一般的になっています。
雇用契約書とは雇用主と労働者の間で労働に関する取り決めが記載された書類です。契約書とあることからも察せられる通り、記載内容に同意した上で雇用主と労働者がそれぞれ署名と捺印します。
多くの企業は労働者に雇用契約書によって労働条件など示し、労働者は同意の上で就労を開始していますが、実は雇用契約書の作成は義務となっているわけではありません。
中〜大規模な会社などでは雇用契約書を徹底している場合も多いですが、法的に義務は無いため個人経営の会社などは必ずしも雇用契約書を作成しているとは限りません。
雇用契約書と類似した書類に労働条件通知書がありますが、雇用契約書と違って労働条件通知書は労働基準法で交付が定められている書類であり、雇用主が一方的に労働者に交付する書類です。
労働条件通知書は労働者の同意を得る必要が無いため、記載内容に対する雇用主と労働者の間の認識の違いで後にトラブルに発展する可能性を孕んでいます。
そこで同意を得た証拠となる雇用契約書が重宝されます。雇用契約書と労働条件通知書のどちらかを作成することで法的には問題はありませんが、労働通知書兼雇用契約書といったひとまとめになった書類を作成する企業もあります。
雇用契約書と労働条件通知書では内容的な違いはほとんど無く、賃金や労働時間、就業場所、契約期間、休日などの労働条件を記載します。
厚生労働省が労働条件通知書のテンプレートを公開していますが、様式通りにする必要は無く、各企業における労働条件の定め方によって内容は変えることができます。
雇用契約書の必要性
雇用契約書が無くても、法律の上では口約束だけで契約は成立しています。
つまり、雇用契約に関しても口約束で法的には有効になります。
雇用契約書の必要性が叫ばれるのは、口約束だけでは問題が発生しやすいからです。口約束で給与面や雇用証明、雇用保険、住民税など様々な点に関する取り決めをすると、後に給与の額が違ったり、雇用保険や住民税の手続きがされていなかったりするなどのトラブルが起こり得ます。
雇用主に問題を指摘したとしても、言った、言わなかったという水掛け論になり、問題は更にこじれて適切な雇用関係は崩れるでしょう。
口約束の場合、約束した内容と労働内容が異なっていても、雇用者も労働者も真の約束内容を証明することが難しいので、お互いに不利益を被り、結果的に誰も得をしないなんてことにもなりますね。
また、義務付けられている労働通知書は書類が残るものの、肝心の同意が無く、雇用主と労働者の間の認識のズレによるトラブルが懸念されます。
このようなトラブル回避のため、雇用契約書が必要とされているのです。
雇用契約書は、雇用者と労働者がそれぞれ署名と捺印されたものを1部ずつ持っておくのが望ましいです。義務化されているわけではありませんが、どちらかが1部だけ持っておくと、変造したり、書類を無かったものにしたりするなどトラブルになりかねないからです。
また、採用する際にどのような雇用形態で雇用するかを明確にし、雇用形態に合わせた雇用契約書を作成しなければなりません。
ちなみに雇用形態がアルバイトであっても雇用契約書は必要です。その他、一般企業なら試用期間中であっても雇用契約書を作成しますし、造園業の場合であれば、見習い期間であっても雇用契約書を作成することが求められます。
雇用契約書は、今では会社の規模や業種に関係なく作成されている書類であり、小規模であり職人文化の残った造園会社やアルバイトで見習いを募集する場合であっても必要な書類となっています。
もし採用になった造園会社が雇用契約書を交付してくれなかった場合は、後のトラブル回避のために作成してもらえるよう求めましょう。
雇用契約書は労働者はもちろんのこと、雇用者側も守り双方を繋ぐものです。
今まで口約束の雇用をしたことがあったり、昔の契約書を使い続けていたりする造園会社は、これを機に雇用契約書の見直しや作成をしてみませんか?