施工管理技術検定の不正受検ってどんなもの?
施工管理技術検定は国家試験です。受検者は、合格することで施工管理技士を名乗れ、工事の際に配置が必要となる主任技術者や監理技術者になれます。
施工管理技術検定について
施工管理技士は工事の種類によって7種類あり、種類別に施工管理技術検定が行われます。施工管理技術検定はどの種類も共通で2級と1級に区分され、それぞれの級で第一次検定、第二次検定があります。尚、第一次検定に合格するだけでも技士補を名乗れます。
施工管理技士は工事現場の管理や監督を務めるため、2級の第一次検定を除く全ての試験において受検資格に実務経験年数が規定されています。
必要な実務経験年数は学歴や保有資格によっても異なるため、施工管理技術検定を受検する予定の人は、自分に該当する実務経験をよく確認する必要があるでしょう。
施工管理技術検定の不正受検
残念ながら、国家試験である施工管理技術検定において、不正受検は実際に発生しています。
一部の受検者が、受検に必要な実務経験年数を満たしていないにも関わらず、実務経験年数を偽って施工管理技術検定を受検、合格し、施工管理技士資格を得ていることが発覚しました。
更に、不正受検者は、不正に取得した施工管理技士資格によって技術者として現場に配置されていたことが明るみに出ています。
施工管理技士は現場の安全管理をはじめ大事な仕事を担う重要なポジションであることを鑑みても、不正合格はとても重大な問題であり、不正受検の問題発覚後は国土交通省も対策に乗り出しています。
会社に言われて受検したらどうなる?
本人の意思ではなく、会社に言われて不正受検を余儀なくされる受検者もいるかもしれません。
不正受検を指示した会社への影響
不正受検の事案が発覚する前までは、不正を指示した会社に対して特に罰則は設けられていませんでした。
しかし、不正受検の発覚後、国土交通省などは不正防止対策案を出しており、令和3年度中に不正受検をさせた企業名の公表、実務経験の証明に関する立ち入り検査の実施が導入されます。
また、今後導入される対策案として、企業へのペナルティの明確化が挙がっています。
不正受検者への影響
実際、不正受検で合格したことが発覚した人への対応として、国土交通省は建設業法施行令に基づいて合格を取り消した上、施工管理技術検定の受検も3年以内の期間を定めて禁止する手続きをとっています。
受検者は、会社に不正を指示されたとしても、会社だけが責められるのではなく、自分自身にも悪影響が及ぶことを認識しましょう。
知らなかったをなくそう!何に気を付けたら良い?
施工管理技術検定の受検に必要な実務経験年数は、とても細かく規定されており、故意な不正受検ではなく、会社、受検者が共に受検資格などについて理解不足だったために不正受検になってしまう場合もあるかもしれません。
しかし、受検者や会社の理解不足であったとしても、不正受検の事実は変わらないため、代償は大きいでしょう。
知らなかったでは済まされないため、不正受検をしないためには、まず受検の手引きにしっかり目を通すことが求められます。
受検の手引きには、受検資格の説明が詳細に記載されている他、実務経験年数の計算の仕方、実務経験の証明者が作成する実務経験証明書の証明者欄の記入例などがあるので、受検者や会社はしっかりと読み込んで理解しなければなりません。
また、不正受検の事案が発覚した後、技術検定不正防止対策として、受検の手引きの記載内容は、よりわかりやすくするために改善が図られています。
他にも、受検申請書を提出する前に、受検者と実務経験証明者が確認すべき事項や間違えやすい事項などをまとめたチェックリストが活用されるようになるなど、以前よりもミスが起きにくいよう工夫されています。
国土交通省はどんな対策をしている?
施工管理技術検定の不正受検について、国土交通省は不正受検をさせた企業名の公表、受検の手引きを見直すなどの他にも様々な対策を考えています。
例えば、試験問題の見直しが挙げられます。第二次検定では、実務経験に基づいた経験記述が求められ、通常ならば実務経験者しか答えることはできません。
しかし、現状では経験記述のノウハウがインターネット上でも出回っていますし、実務経験が不足している受検者であっても会社が指導した偽りの経験記述を暗記し、試験に臨むことで合格できてしまう可能性があります。
国土交通省は、不正受検の事案が発覚した後、受検者が暗記で解答できないように経験記述の出題分野や設問内容の多様化を検討しているため、いずれ導入されるでしょう。
まとめ
施工管理技士の資格は、造園業や建設業などがとても重宝する資格です。資格を取得したい気持ちはわかりますが、施工管理技術検定試験の受検のために実務経験を不正することは絶対にやめましょう。
今後導入が検討されている不正対策案もあるため、受検者や会社は試験に関する最新情報や注意事項をこまめに確認することが求められます。
施工管理技術検定試験を受検する予定の人や受検者が所属する会社は、実務経験など受検資格をしっかり確認し、正々堂々と合格できるようにしましょう。