植栽基盤診断士とは?
造園業といっても、仕事内容は様々です。また、造園に関連する資格も、デザインに関する資格、造園工事に携わるために必要な資格など、数多くあります。
植栽基盤診断士も、造園に関連する資格の一つです。植栽基盤診断士は、造園施工管理技士やエクステリアプランナーなど他の造園関係の資格に比べ、知名度は低いかもしれませんが、とても重要な資格です。
植栽基盤診断士
植栽基盤診断士は、植物が健全に育つための土壌環境を整えるスペシャリストです。植栽基盤とは、植物が根を伸ばしたり、水分や養分を吸収したりする条件を備えるなど、植物の正常な育成に適した地盤を指します。
植栽基盤診断士は、植栽基盤や植物の生育する土壌、植物、植栽についての専門的な知識を活かして土壌調査をし、診断結果から植物がきちんと生育するために必要な処置を施します。
現在は、緑化が進められる一方、植栽された植物の生育不良や枯死も問題になっており、対処が求められています。生育不良や枯死の多くは、土壌環境の不良が原因といわれています。
植栽地の改良には、土壌の物理性や排水性の確保など、求められる知識量や技術力は膨大です。植栽基盤診断士の資格は民間資格で、技術者の育成や技術力の向上などを目的に、一般社団法人日本造園建設業協会によって作られました。
植栽基盤診断士補
植栽基盤診断士の他に、植栽基盤診断士補もあります。植栽基盤診断士補は、植栽基盤診断士が植栽対象地を調査したり、診断して処方したりする際、補佐を任されます。
受験資格
植栽基盤診断士や植栽基盤診断士補を名乗るには、講習を受講したり、試験に合格したりしなければなりません。
植栽基盤診断士補の受験資格
植栽基盤診断士補になるには、植栽基盤診断士補研修会を受講します。植栽基盤診断士補研修会の受講資格は設けられていないので、誰でも受講が可能です。
植栽基盤診断士補研修会の内容は、学科研修、実技研修、修了試験となっており、修了試験を受験するためには学科と実技の全研修の修了が必要です。
植栽基盤診断士補研修会の開催地やスケジュールについては、一般社団法人日本造園建設業協会のHPなどで確認しましょう。
植栽基盤診断士の受験資格
植栽基盤診断士は、植栽基盤診断士認定試験を受験しなければなりません。植栽基盤診断士認定試験には、学科試験と実地試験があります。
学科試験は、1年に1回、全国一斉に行われます。学科試験の受験資格は、規定された条件をすべて満たさなければなりません。
条件の1つ目は、植栽基盤診断士補であることです。2つ目は、植栽基盤整備、または植栽に関連する調査や設計、施工、管理に関する実務経験が2年以上ある者です。
3つ目は、1級造園施工管理技士をはじめ、規定された資格を取得している他、実務経験の規定がある場合は、実務経験の条件も満たしている者となっています。
必要な資格や実技経験年数についての詳細は、学科試験案内などで確認できます。いずれにしても、植栽基盤診断士認定試験を受験するには、造園業における実務経験が必要となります。
学科試験の内容は、4者択一式問題と計算・記述式問題で構成されています。
実地試験の受験資格は、過去3年以内に学科試験に合格していることです。実地試験の内容は、口頭試問になっています。
植栽基盤診断士の難易度
植栽基盤診断士認定試験の難易度を知って、勉強に役立てましょう。
難易度
造園に関連する資格で、取得難易度の高い種類は少なくありませんが、植栽基盤診断士も簡単な資格とはいえないでしょう。
一般社団法人日本造園建設業協会関東甲信総支部では、植栽基盤診断士認定試験が難しいとの理由から、平成30年に受験対策のための植栽基盤診断士学科試験準備講習会を開催しています。
受験対策準備講習会では、植栽基盤診断士認定試験の学科試験で高配点となっている計算・記述式問題への対策として、模擬問題に取り組んだ後に添削指導が行われました。
尚、一般社団法人日本造園建設業協会のHPでは、過去問も公開されているため、自分の実力や合格の可能性を知りたい人は、試しに過去問に取り組んでみると良いかもしれません。
合格率
植栽基盤診断士認定試験の難易度は高いため、合格率も高くはありません。しっかりとした対策が必要でしょう。一般社団法人日本造園建設業協会の発行する植栽基盤ハンドブックなどの書籍が勉強の際に役立つでしょう。
まとめ
植栽基盤診断士は、とても重要な仕事を担っているため、その分求められる経験、技能、知識は多く、難易度の高い資格になっているといえるでしょう。
また、植栽基盤診断士認定試験に合格すると、認定登録後に植栽基盤診断士を名乗れますが、有効期限は5年です。植栽基盤診断士の資格保持者は、期限が切れる前に更新手続きが必要であることも知っておかなければなりません。
造園に関係する資格は多くあり、自分の仕事に関連があったり、役に立ったりする種類を選んで取得すると良いでしょう。そのなかでも植栽基盤診断士の資格は、造園業で仕事をする上でかなり活用できる資格といえます。