造園業の「木くず」や「剪定枝」は一般廃棄物?産業廃棄物?

一般廃棄物と産業廃棄物の定義は?

一般的にゴミと呼ばれる廃棄物には種類があります。廃棄物の種類は、一般廃棄物と産業廃棄物に分けられ、種類によって処分方法や処分責任の所在などが異なります。

産業廃棄物
産業廃棄物とは、事業活動をしている過程で生じた廃棄物で、排出した企業に処理責任があります。産業廃棄物は、具体的に特定の20種類の廃棄物を指します。

さらに、特定の20種類に指定された産業廃棄物は、あらゆる事業活動に伴うもの、特定の事業活動に伴うものに区分されています。

注意したいのは、特定の事業活動に伴うものの場合、指定された業種以外から排出された廃棄物は一般廃棄物として扱わなければならない点です。

また、産業廃棄物の中でも、廃油や廃酸をはじめ毒性や爆発性をはらむ危険なゴミは、特別管理産業廃棄物に分類され、処理基準や処理できる企業も通常の産業廃棄物とは異なります。

一般廃棄物
一般廃棄物は、私たちの生活に身近なゴミといって良いでしょう。一般廃棄物は産業廃棄物以外のゴミです。

一般廃棄物は、家庭から排出される家庭廃棄物と企業などから排出される事業系一般廃棄物に分けられます。

一般廃棄物は、原則として自治体が処理の責任を持つため、一般廃棄物と見なされるゴミでも自治体によって取り扱い方が異なる場合があります。詳細は、各自治体に問い合わせてみましょう。

造園業で出るゴミを振り分けると?

造園業で出るゴミは、たとえ同じ木くずであったとしても、造園工事業と園芸サービス業で扱いが異なります。

産業廃棄物を一般廃棄物として扱ったり、逆に一般廃棄物を産業廃棄物として処分したりした場合などは、故意でないにしろ罰則の対象になる可能性があるため、造園業の関係者は産業廃棄物の処理に関する知識を持っておくべきでしょう。

一般廃棄物
造園業でも、園芸サービス業は、総務省の日本標準産業分類上、大分類Aで農業に分類されています。園芸サービス業から出る枝葉や幹などの木くずは、一般廃棄物になります。

園芸サービス業とは、築庭や植樹、庭園の手入れを仕事にしている事業所が該当し、例えば植木屋から出る剪定枝や草などの廃棄物は一般廃棄物として処理するのが適切です。

産業廃棄物
産業廃棄物となる木くずは、工作物の新築や改装、除去によって生じる建設業に関わるものの他、木材または木製品の製造業やパルプ製造業、輸入木材の卸売業、ポリ塩化ビフェニルが染み込んだものが該当します。

造園工事業は、日本標準産業分類では園芸サービス業と異なる産業として捉えられています。日本標準産業分類上、造園工事業は大分類Dで建築業になり、造園工事業を営む企業が工事現場で排出した木くずは、産業廃棄物として処理しなければなりません。

産業廃棄物の捨て方や管理方法は?

産業廃棄物は、一般廃棄物と異なり、ルールに則って適切に処理されなければなりません。

また、産業廃棄物を排出する企業は、マニフェストを交付する必要があります。

産業廃棄物の捨て方
産業廃棄物を排出した企業は、産業廃棄物を分別、保管した上で、運搬する企業に収集してもらうのが産業廃棄物の処理の流れです。

中間処理場に運搬された産業廃棄物は、焼却や無害化などの中間処理を経て、陸地や海に設けられた最終処分場に埋め立てられます。

排出企業は、マニフェストによって産業廃棄物の流れを把握し、産業廃棄物が適正に処分されたことを確認できます。

産業廃棄物が出たら、排出企業は運搬や処分を委託する前に、自社で産業廃棄物の分別と保管をしなければなりません。

産業廃棄物は20種類ありますが、排出企業は種類毎に廃棄物を分別します。分別が困難な場合、混合廃棄物として扱わなければなりません。

産業廃棄物の管理方法
分別した産業廃棄物は、収集、運搬されるまで、排出した企業が保管します。産業廃棄物の保管に関して、廃棄物処理法で保管基準が定められているため、排出企業は法に則って適切に産業廃棄物を管理しなければなりません。

保管基準は、囲いや掲示板を設置、屋外での保管、害虫の発生予防などがあります。さらに、掲示板のサイズや記載事項が規定されていたり、屋外で保管時の積み上げ高に制限があったりするなど、細かい規定事項があるので注意が必要です。

まとめ

木材の廃棄物である木くずは、一般廃棄物になったり、産業廃棄物になったりもする分別が難しい廃棄物です。

造園業が出す廃棄物は、企業の出すゴミだからといって無条件に産業廃棄物になるわけではありません。造園業の仕事の一つとして知られる剪定では、たくさんのゴミが出ますが、剪定枝は産業廃棄物ではなく、一般廃棄物の扱いになります。

一方、庭や外構などの造園工事をする際、廃材と共に出た剪定枝は、産業廃棄物として扱われます。

もしも造園の仕事中に出た廃棄物の種類がわからない場合、企業の担当者は行政に問い合わせると確実です。