工場緑化とは?どんなメリットがある?

工場緑化の法律について

工場の環境について定めた法律があります。それは工場立地法です。

1974年に施行された工場立地法は環境保全を図りつつ、工場立地を適正に行うことで、国民経済の発展や福祉に寄与する目的で定められました。

工場立地法では製造業、電気・ガス・熱供給事業者の敷地面積が9,000平方メートル以上、または建築面積が3,000平方メートル以上の特定工場が対象です。また生産施設の他、緑地、噴水や運動施設などを含む環境施設の面積率が規定されています。

国が定める準則では、緑地を含めた環境施設は敷地の25%以上、緑地は敷地の20%以上となっています。ただし環境施設や緑地の割合については市町村が地域の実情に応じ、国の準則に代えて独自の条例を制定することが可能です。

尚、法施行前に建設された既存の工場に関しては、特例があるので確認が必要です。

工場立地法に則って、対象業種の企業が工場を新しく建設したり、増設したりする場合は、工場が立地する市町村への届け出が必要となります。届け出を怠ったり、準則に適合しない内容で届け出たりした場合は勧告を受けたり、罰則を科されたりする可能性があります。

緑化によるメリット

屋上や壁など様々なところで緑化が進められています。緑化にはたくさんのメリットが期待できるのです。

心理的効果
緑化は工場で働く作業員はもちろん、周辺住民の心理にも良い影響を与えるでしょう。

緑は人の心を癒やしたり、ストレスを緩和したりできる心理的効果を期待できます。

防音効果
工場では扱う機械によっては大きな音が出るでしょう。工場で出る大きな音は、周辺住民には騒音となって平穏な生活を脅かしかねません。

工場緑化は防音効果が期待できるため、工場の壁面を緑化するだけでも違いを感じられるでしょう。

温度調節
緑化することで暑い夏、寒い冬に工場で作業する労働者が過ごしやすくなります。

暑い夏でも緑化によって室内温度の上昇を抑えられ、冬は保温効果があるので、作業員は快適な環境の下で作業できるでしょう。

緑化優良工場等表彰制度とは

工場緑化に関して、緑化優良工場等表彰制度があり、通称「全国みどりの工場大賞」と呼ばれています。

緑化優良工場等表彰制度とは、工場立地法の精神に則り、工場緑化を推進し、工場内外の環境保全を図った企業のうち、特に著しい功績が認められる工場を表彰する制度です。工場緑化のさらなる推進を図るため、1982年から毎年実施されています。

一般財団法人日本緑化センターのHPにて、緑化優良工場等表彰制度の募集についての情報が掲載されています。工場緑化に取り組む製造業や電気・ガス・熱供給事業の工場は応募できますが、都道府県庁や政令指定都市役所の推薦が必要です。

参考:一般財団法人日本緑化センターのHP
http://www.jpgreen.or.jp/koujyo/index.html

表彰は日本緑化センター会長賞から経済産業局長賞、経済産業大臣賞と段階的にステップアップしていくため、各種表彰への応募は条件を満たさなければなりません。

さらに、毎年実施されている内閣府主催の式典において、経済産業大臣賞の受賞経験のある工場から募集されたうちの1工場に対し、緑化推進運動功労者内閣総理大臣表彰が授与されます。

工場緑化の事例

過去に緑化優良工場等表彰制度において表彰を受けた工場の事例を紹介します。工場緑化の取り組みの模範やメリットを知れます。

大塚製薬徳島板野工場
自然との共生をコンセプトに謳っている大塚製薬徳島板野工場は、工場敷地内に広大な芝生が整備されています。また様々な種類の樹木が植栽されており、熱心に緑化推進に取り組んでいる姿勢が魅力的です。

また、敷地内にあるビオトープには工場で排出される冷却水が用いられ、希少生物を含めた多種多様な生物が保護、育成されています。ビオトープとは、植物や動物が安定して生活できる生息空間のことです。

日研フード株式会社
静岡工場では緑化率51%となっており、緑あふれる工場環境が魅力的です。景観を美しく保つ樹木だけでなく、有機栽培されている野菜や果物の畑もあります。

有機農業の一環として、製品の製造過程で出る茶殻などを堆肥化させ、再活用するなど循環型社会への取り組みも高く評価されています。

まとめ

工場敷地内の緑化にもメリットがあり、緑は労働者や近隣住民に良い影響を与えてくれるでしょう。

しかし、工場を建設、増設する企業は、工場緑化を闇雲に推進すれば良いわけではありません。工場緑化に関する工場立地法を遵守する必要があり、一定割合以上の敷地を緑化することが義務付けられています。

工場の建設を検討する企業は、工場立地法について知っておくべきでしょう。

また、工場の建設に関しては様々な特例が絡んできたり、事前の届け出が必要だったりと、手続きが煩雑になりがちです。工場建設を考える企業は専門知識を持つ建設会社などに依頼することで適切に工場緑化を進められます。