エクステリアデザイナーとは
「エクステリア」は一般的に、建物の外周り空間を意味する言葉。エクステリアデザイナーは、この空間に設置されるフェンスや門扉、駐車場や玄関アプローチなどの構造物をどのように配置するのか計画し、提案する人のことです。
顧客の要望や敷地条件などを考慮してデザイン案をまとめ、使用する部材や素材を決定。平面図や立体パースなどにまとめて、打ち合わせするのが主な仕事内容です。
個人住宅を対象にしているイメージが強いですが、集合住宅や商業施設など、デザインする範囲は多岐にわたります。
敷地全体を対象とするエクステリアデザインは建物の仕上がりや雰囲気を大きく左右するため、建築家や設計事務所と協力してデザインすることも。
エクステリアを構成する要素はさまざまで、敷地によって条件も異なります。エクステリアデザイナーはこれらの要素や条件を総合的に判断し、設計する力が求められます。
造園業がエクステリアデザイナーになるには
エクステリアデザイナーになるために合格しなければならない試験や、必要な資格はありません。
極論を言うと「エクステリアデザイナー」と名乗れば誰でもなれてしまう職業ですが、その分、確かな技術や知識が必要です。
造園業で培った技術や知識を活かすことはもちろん可能ですが、今まで守備範囲外だった部分を補うためにも、専門学校などで学んだり、エクステリアに関わる資格を取得したりするのがおすすめです。
専門学校などで学ぶ
エクステリアデザインを学べる学校は、短大や大学、専門学校などいろいろな種類がありますが、中でも造園業からエクステリアデザイナーになるのにおすすめなのが専門学校です。
デザインや提案手法など、実務的なことを基礎から学べるのが特徴で、エクステリアデザイナーとしての即戦力を身につけられます。
設計スキルだけではなく、エクステリアCADの使い方やエクステリア業務に必要なビジネススキルなど、eーラーニングで必要なものだけ受講できる学校もあるので、働きながら学ぶことも可能。
個人受講のほか、企業単位で受講することもできるので、社員教育などにも使えます。
参考:E&G ACADEMY
https://www.eandg.co.jp/
資格を取得する
エクステリアデザインに関わる資格の一つとして「エクステリアプランナー」があります。
エクステリア工事に関する技術、知識の向上を目指して制定された制度で、造園施工管理技士や造園技能士に比べて「エクステリア」に特化した資格です。
学科試験はエクステリアのデザインや施工を行う上での基本から専門的な知識や技術に関する問題、実地試験はゾーニング図や設計図作成が課題。
資格を取得することで、エクステリアデザインに必要な知識や技術を身につけられます。
エクステリアプランナーには1級、2級があり、1級は造園施工管理技士や土木施工管理技士などの資格を保有していることが受験条件ですが、2級は年齢、学歴等の制限なく受験可能です。
独学で勉強できますが、各資格スクールが開講している講座を受講するのも良いでしょう。
造園業のエクステリアデザイナーとしての主な仕事内容
エクステリアデザイナーの主な仕事内容は、顧客との打ち合わせや現地調査、プランニング、プレゼンテーションの作成などがあります。
顧客との打ち合わせ
顧客がどのようなエクステリアデザインを求めているのか、確認する作業です。
駐車、駐輪の台数や収納の有無など必要とする機能や、イメージするエクステリアデザインについて、具体的に聞き取りします。
デザインに反映するために、家族構成、趣味や趣向、生活スタイルなど、さまざまな角度から質問することも。
その後、要望をまとめて実際にデザインをしてから、設計図・見積もりの説明や仕様の確認のための打ち合わせを行います。
修正や再度デザインしたときは、複数回打ち合わせすることもあります。
現地調査
エクステリアデザインをする上で、現地がどのような状況になっているのか確認することはとても大切な作業です。
現地調査ではまず、隣地、道路境界の確認や前面道路との高低差、電気、ガス、水道など設備類の引き込み位置を調査します。
既存の植栽があるときには、樹種やおよその樹高など、既存の建物や計画中の建物については、正確で詳細な配置や寸法、玄関や窓の位置、大きさなどを、測量して記録したり、建物図面を確認したりします。
また現地調査ではデザイン対象となる敷地内だけではなく、その周辺環境を含めて調べます。
特に駐車場やアプローチの計画をする上で重要な道路は、幅や種類、舗装状況、勾配などの確認も欠かせません。
周辺の交通状況や眺望、隣地の窓や玄関位置なども調べておくほか、用途地域や建ぺい率・容積率、地区計画の有無など、法規についても事前に確認します。
プランニング
プランニングは、顧客の要望や現地調査での情報をもとに、デザインの基本的な方針や、おおまかな配置計画を決定し、実際にデザインしていく作業です。
使用する商品や素材の選択、寸法や範囲を決定してデザインをまとめ、設計図面を作成、数量の拾い出しや見積もりなどもこのときに同時に行います。
デザインしたものが実際に施工可能なのかどうか、検討し施工者と相談する、施工時に必要な詳細図面や指示書を作成するのも、エクステリアデザイナーの仕事です。
プレゼンテーションの作成
作成したエクステリアデザインのコンセプトや魅力、イメージを顧客に伝えるための資料をまとめる作業です。
平面図や立面図、3Dパースなどの設計図面や、使用している部材の詳細をまとめた仕様書を作成します。
イメージスケッチを添付したり、大規模なデザインの場合は模型を作ったりすることもあります。
まとめ
エクステリアデザイナーの仕事は、建物の外周り空間をより機能的、魅力的にしていくこと。造園業の仕事と関わりが深い仕事です。
エクステリアに関する正しい知識を習得し、造園業で培った技術と経験を活かしたエクステリアデザイナーを目指しましょう。