公園管理運営士とはどんな資格?受験資格や試験内容を解説

近年、公園などの公共施設では民間企業やNPO団体、自治会などに運営管理を委託する指定管理者制度が設けられています。

公園の指定管理者が保持することが望ましい資格としても認められている「公園管理運営士」について、詳しく説明します。

公園管理運営士認定制度とはどんな資格?

公園管理運営士認定制度とは、公園や緑地を総合的に管理する人材を育成するために、一般社団法人日本公園緑地協会が認定する資格制度です。

2003年の地方自治法改正に伴い、多くの自治体では経費節減や多様化するニーズへの効果的・効率的な対応を目的に、公園、文化会館、スポーツ施設などの公共施設の運営管理を民間企業・団体に委託する「指定管理者制度」を導入。

公園に求められる機能が多様化・高度化する中で、公園の管理運営を効率的、円滑にすすめられるマネジメント能力をもった人材への需要が高まっていました。

こうしたニーズに応え、公園の運営管理について一定水準の知識、技術、能力をもつ人材を育成・認定するために設けられたのが「公園管理運営士認定制度」です。

公園管理運営士は、公園やその管理運営の意義、機能、目標などについて十分な知識をもち、公園を取り巻く状況の変化や多様なニーズなどを把握・対応したり、業務を効率的・効果的に推進したりすることが求められます。

関連法案や規定を遵守した運営管理を行うことや、実施結果に対する評価、課題の改善といった公園マネジメントを実施することも必要でしょう。

公園管理運営士は、多岐にわたる公園の運営管理業務を現場の実務責任者として総合的に行う、公園管理の専門家なのです。

試験の難易度と合格率

公園管理運営士認定試験事務局は、認定試験が始まった2006年度からの実施結果を公表しています。

これによると、2006年から2022年までの1次試験合格率は約40~60%、2次試験は約73~95%で、1次試験よりも2次試験の方が高い結果でした。

またこの公表データをもとに算出した、1次試験・2次試験を通じた合格率は約38~63%です。

1次試験では公園の運営管理に関するさまざまな問題が、多分野から出題されます。

2次試験は1次試験合格者のみを対象としていて、ディスカッションとレポート作成をする講習を受けた後に実施される、修了試験です。

合格率から考えると1次試験の難易度は高めだと言えますが、専門的で幅広い知識を問われる1次試験に合格できる実力があれば、2次試験にも対応できると考えられます。

受験資格

公園管理運営士認定試験は、1次試験と2次試験に分かれています。

このうち1次試験の受験資格は、公園管理運営士認定試験・1次試験の手引きに「満27歳以上のもの」と規定されています。

これは受験年度の4月1日時点で27歳に達している人が受験できるという意味です。保有資格や実務経験による受験資格はありません。

また2次試験は1次試験合格者のみが受験できます。2次試験で不合格だった場合は、翌年度のみ1次試験を受けずに2次試験から受験することが認められています。

試験内容と対策方法

公園管理運営士認定試験は、筆記試験が行われる1次試験と、講習と修了試験が行われる2次試験があります。このうち2次試験は1次試験合格者のみが受験可能です。

試験内容
1次試験は択一式問題、短文記述式、小論文の3つで構成されていて、公園や緑の意義・機能、公園管理の意義・目標、市民参加・地域との連携、自然環境への配慮、公園経営・マネジメントなどの幅広い分野から出題されます。

2次試験の講習は、公園の運営管理についてテーマや分野別に、その心構えや実践的なマネジメント手法についてディスカッションをしたり、学習成果をレポートにまとめたりしながらすすめられます。

修了試験は全ての講習を受講した人だけが受験可能で、内容は公園管理者としての基本的な認識や姿勢に加えて、応用的な実行力を問われる小論文形式の出題です。

対策方法
公園管理運営士の試験対策には、一般財団法人公園財団が出版する「公園管理ガイドブック改訂版」が役に立つでしょう。

公園管理について体系的にまとめた書籍で、公園管理の目的や維持管理、運営管理などについて詳しく学べます。

一般社団法人公園緑地協会がまとめた「造園施工管理・技術編」「造園施工管理・法規編」もおすすめです。

公園の運営管理で欠かせない、造園施工管理に関して総合的、体系的にまとめたもので、造園施工管理技術検定試験の参考書としてもよく利用されています。

関連施策や法令については、国土交通省のホームページ「公園とみどり」も参考になるでしょう。

国土交通省『公園とみどり』

また公園緑地協会では認定試験の過去問題集も出版しています。同協会のホームページから購入できますので、出題傾向を知るためにもぜひ入手してみてください。

一般社団法人公園緑地協会『出版図書』

また公園管理運営士の有資格者で組織される一般社団法人公園管理運営士会では、受験対策講習会をオンラインで実施しています。

公園管理運営士認定試験は、ほかの認定試験と比べて記述式問題の割合が高く、合格するためには知識だけではなく解答を短い時間で簡潔にまとめることが大切です。

講習会ではこの記述式問題対策にポイントをおいて解説してくれます。独学だけでは習得しにくい内容を学べるので、ぜひ受講してみると良いでしょう。

まとめ

公園管理運営士認定制度は、一般社団法人日本公園緑地協会が認定する民間資格です。

この制度で認定される公園管理運営士は、公園管理のエキスパートとして公園や緑地に関するさまざまな業務を総合的に行います。

試験の難易度は決して低くはありませんが、1次試験は満27歳以上の人であれば誰でも受験可能です。

参考図書や過去問題集も充実していたりオンライン講習会が実施されていたりするので、異業種でもチャレンジしやすい資格と言えるでしょう。