園芸福祉士とは?なり方やキャリアパスも含めて解説

園芸を通して社会貢献できる資格として、園芸福祉士があります。具体的にどのような活動をしているのか、どうすれば資格を取得できるのか気になっている方は多いのではないでしょうか。

今回の記事では、園芸福祉士の概要やなり方を解説します。また、キャリアパスも含めて解説していますので、園芸福祉士に興味のある方は参考にしてみてください。

園芸福祉士とは

園芸福祉士は、地域に根付いた園芸福祉活動を実践し、社会に広く普及させるための人材です。園芸福祉士の資格は日本園芸福祉普及協会が認定しており、初級園芸福祉士と園芸福祉士の2つがあります。

初級園芸福祉士は園芸福祉の基礎知識を持ち、地域での実践活動を通して、園芸を用いた福祉活動を推進することが役割です。

対して園芸福祉士は地域の園芸福祉活動のリーダーとして、より広範な啓蒙活動をする役割を果たします。病院や学校、公園など活動場所はさまざまです。

園芸療法士との違い
園芸福祉士と園芸療法士は、共に園芸を用いた活動を行いますが、その目的や対象、活動内容に違いがあります。

園芸療法士は園芸福祉の中でも特に「療法」に特化した専門家です。園芸療法士は、高齢者、障がい者、病気で療養中の人々を対象に、園芸を通じて生活の質の向上や機能回復を目指す役割を担います。

具体的な活動として挙げられるのは、植物の世話やガーデニング活動を通じた、身体機能の改善や心理的なリラクゼーションの提供です。

園芸療法は、リハビリテーションの一環として行われることが多く、医療や福祉の現場で専門的な知識と技術を活用し、個別のニーズに合わせたプログラムを提供します。

一方園芸福祉士は、支援を必要とする人だけでなく、すべての人々を対象に園芸活動を通じた健康活動や生きがいづくりを啓蒙することが役割です。地域社会全体での園芸活動を推進し、住民の交流や地域の緑化活動を通じて、社会全体の福祉向上を目指します。

園芸福祉士の活動は、子どもから高齢者まで幅広い年齢層の人々を対象にしており、地域のつながりを強化し、健康で生きがいのある生活を支援します。

園芸福祉士になるには

園芸福祉士になるためには、まず初級園芸福祉士になる必要があります。初級園芸福祉士になるには、毎年2月に実施される筆記試験に合格しなければなりません。

試験は誰でも受けられるものではなく、協会認定の「初級園芸福祉士養成講座」を修了していることが必要です。この養成講座は、農業・園芸系の学校の授業でカリキュラムとして実施されている場合もあります。

初級園芸福祉士養成講座を修了し、筆記試験に合格した後は、日本園芸福祉普及協会の会員登録が必要です。

さらに園芸福祉士になるためには、2年以上の園芸活動の実施や活動アンケートの提出、協会が指定する勉強会やイベントへの参加が求められます。これらの条件をクリアすることが、園芸福祉士の資格試験を受けるための受験資格です。

この資格試験に合格すると、晴れて園芸福祉士として活動できます。

園芸福祉士になった後のキャリア

園芸福祉士としてのキャリアは、地域社会のさまざまな場面での活動が求められます。園芸福祉士は、身近な場所で幅広く活躍し、その専門知識を活かして人々の生活を豊かにすることが役割です。

まず、高齢者や障がい者施設での活動では、花や野菜づくりを通じて入居者の心身の健康を支えます。また、保育園や幼稚園では、食育や花育の一環として、子どもたちに植物の成長過程や自然の大切さを教えることも役割です。

園芸を通じて、子どもたちに命の大切さや自然との触れ合いの楽しさを伝えます。

農業分野では、障がい者就労支援として、障がい者が農業に参加する機会を提供することが役割です。障がい者の自立支援や社会参加を促進します。

学校ファームや市民農園での農業体験も、園芸福祉士の重要な活動の1つです。ここでは、地域住民や学生に農業の楽しさと大切さを伝え、コミュニティのつながりを深めます。

また休耕地を活用したコミュニティづくりも活動の一部です。未利用地を花や野菜の栽培地として再生し、地域住民が集まる場所を提供します。地域の美化活動や、公園や公共施設の花壇管理も園芸福祉士の活動領域です。

なお場合によっては園芸福祉士として、自治体とも関わりを持ちます。市町村が主催する介護予防や認知症予防講座など、園芸を活用したプログラムの提供も活動内容となるでしょう。

まとめ

園芸福祉士になるためには、まず初級園芸福祉士になる必要があります。さらに2年以上の園芸活動の実施や活動アンケートの提出、協会が指定する勉強会やイベントへの参加が必要です。

園芸福祉士は、地域に根付いた園芸福祉活動を実践し、社会に広く普及させるための重要な人材です。住民の交流や地域の緑化活動を通じて、社会をより豊かにしたい方はぜひ資格取得を視野に入れてみてください。