一級施工管理技士受検資格は
国家資格の施工管理技士資格を取得するには、施工管理技術検定を受検しなければなりません。
施工管理技術検定は、2021年より新しい試験制度が始まり、今までの学科試験は第一次検定、実地試験は第二次検定に名称が変わりました。また、第一次検定に合格するだけで、技士補の称号を得られるのも大きな変更点です。
新試験制度によって、一級施工管理技士の受検資格も以前とは異なる点があるので、受検者は注意しましょう。
一級施工管理技士の第一次検定の受検資格
一級施工管理技士は、主任技術者や監理技術者になれ、大規模工事に関わることのできる建設業界で重宝される資格です。
一級施工管理技士の第一次検定の受検資格を得る方法の一つは、二級施工管理技士の第二次検定に合格することです。
2021年4月より受検資格が緩和されており、二級施工管理技士の第二次検定の合格者は、実務経験を問わず、一級施工管理技士の第一次検定を受検できます。
また、学歴に応じて規定された実務経験を積むことによっても、一級施工管理技士の第一次検定の受検資格を得られます。
最終学歴、専攻が指定学科か指定学科以外かの違いによって、必要な実務経験年数が異なるので、各受検者は自分の状況に合った実務経験年数を確認しましょう。
一級施工管理技士の第二次検定の受検資格
一級施工管理技士の第二次検定の受検資格を得るには、5年以上の実務経験が求められます。
二級施工管理技士の第二次検定に合格後、すぐに一級施工管理技士の第一次検定に合格して一級技士補となっても、一級施工管理技士の第二次検定を受検するためには5年待たなければなりません。
もしくは、二級の第二次検定に合格後、5年以上の実務経験を積み、一級施工管理技士の第一次検定を受検して合格すれば、同じ年度の第二次検定を受検することもできます。
実務経験で注意すべきは資格をまたいでいないか
2019年の12月以降、施工管理技術検定において不正受検が相次いで明るみに出ました。
複数の企業において、所定の実務経験の年数を満たしていない労働者が施工管理技術検定を受検し、不正に取得した資格で、監理技術者や主任技術者として配置され、現場で働いていました。
実務経験で注意すべき点の一つは、資格をまたいでいないかどうかです。
施工管理技術検定には複数の種目がありますが、実務経験は、いずれかの種目の実務経験として申請しなければなりません。
しかし、企業の理解不足や確認不足などが原因で、複数の施工管理技術検定の実務経験で申請しているケースが見られます。企業や受検者は、実務経験の申請をする際、資格をまたいでいないか注意が必要です。
また、実務経験の不正に関しては、実務経験として認められない工事内容であるにもかかわらず、実務経験として申請するケースが見受けられます。実際には下請け企業に出して自社では施工していない工種を実務経験として計上するケースなどもあるため、企業は実務経験の要件を今一度確認するべきでしょう。
虚偽申告の場合のリスクとは
虚偽申告をした企業や受検者は、ペナルティを受けるリスクがあります。
施工管理技士技術検定における不正受検が明るみに出たことを受け、国土交通省は2021年度の受検申請から実施可能な対策を実行しており、不正があった企業へのペナルティも強化されています。
意図的な不正だけでなく、無知による不備や不正もペナルティの対象になるので、企業や受検者は虚偽申請をしないように確認しましょう。
企業名公表
不正や不備が社会に及ぼす影響が大きいと判断された企業は、国土交通省が企業名を公表する可能性があります。企業名の公表によって、企業のイメージダウンは避けられないでしょう。
また、国土交通省は、企業に対して原因分析結果や再発防止策を公表するように指導します。
営業停止
虚偽の実務経験を申告し、不正に資格を取得した者を主任技術者や監理技術者として現場に配置している企業は、30日以上の営業停止処分となります。
受検禁止
虚偽の出願によって施工管理技術検定を受検しようとした人は、3年間は受検ができません。
また、現在は、制度の不理解による出願時の書類の不備も不正とみなされ、1年間の受検禁止となっています。
まとめ
不正に対するペナルティが厳しくなっている現在、これから施工管理技術検定を受検するなら、企業や受検者は今まで以上に実務経験を厳密にチェックする必要があります。
また、一級施工管理技士の受検資格に必要な経験年数は、受検の手引きを必ず確認しましょう。
不正とされた時、企業や受検者が背負うリスクは小さくありません。
虚偽申告は、いずれ露見すると考えておいた方が良いでしょう。実務経験の虚偽申請が発覚する場合、内部告発が発端となっているケースが多いようです。内部告発があった場合、国土交通省による実務経験の証明に関する立ち入り検査が行われます。
知らなかったでは済まされないため、企業は、一級施工管理技士受検資格の受検資格について要件を確認したり、実務経験の記録や管理の仕方を見直したりして、社内での確認体制を強化し、不正のないように努めましょう。