コンクリート診断士とは?
コンクリート診断士は、コンクリート構造物の安全性や使用性、耐久性などに関する診断技術の向上を目的とした資格で、日本コンクリート工学会によって認定されます。
よく似た資格にコンクリート技士・主任技士資格認定制度がありますが、こちらはコンクリートの製造や工事、試験研究などの業務に携わる技術者の資格を定めています。
それに対してコンクリート診断士は文字どおり、診断技術に重きをおいているのが特徴です。
既存のコンクリートを対象とし、その劣化の程度を診断するための計画や調査、評価と判定を行い、それに伴う補修や補強対策、維持管理を行う技術者の資格です。
民間資格ではあるものの、コンクリート診断士は国土交通省が定める「公共工事に関する調査及び設計等の品質確保に資する技術者資格」(国土交通省登録資格)としても登録されています。
ダムやトンネル、道路や高層ビルなどの大規模建造物はもちろん、駐車場のコンクリート舗装や擁壁など、身近なところにもコンクリート構造物はたくさん存在しています。
高度経済成長期にも多種多様なコンクリート構造物が建築されましたが、現在ではその多くが、寿命を迎えつつあります。
これらのコンクリート構造物の維持管理や更新を適切に実施するためには、点検や診断の質が重要であり、これらに携わる技術者の能力を評価し、活用すること必要と考えられています。
コンクリート診断士は、今まさに需要が高まりつつある資格と言えるでしょう。
コンクリート診断士の難易度
2022年度のコンクリート診断士試験の結果は、受験者数3,474人に対して合格者は557人、合格率は16.0%でした。
引用:日本コンクリート工学会 2022年度コンクリート診断士試験結果の概況
https://www.jci-net.or.jp/
直近5年間の合格率を見てみても、14.8%から16.3%と大きな変化は見られず、およそ15%前後を推移しています。
多くの資格スクールなどが公開している情報から総合的に判断すると、2022年度の1級造園施工管理技士・2次検定の合格率が46%、2級造園施工管理技士・2次検定の合格率が41%程度です。
また、一般的に難易度が高いと言われている、宅地建物取引士の2022年度合格率が17.0%、1級建築士の合格率が9.9%。
ほかの資格と比べてみても、民間資格でありながら、コンクリート診断士はかなり難易度の高い資格と言えるでしょう。
コンクリート診断士の試験を受験するには、コンクリート主任技士や1級建築士、1級土木施工管理技士などの資格を所有しているか、大学や専門学校でコンクリート技術に関する科目を履修後、コンクリート技術関係業務の必要実務経験年数を満たしていなければなりません。
これに加えてさらに、前年もしくは受験する年度の、コンクリート診断士講習eラーニングを受講修了していることが必要です。
受験資格から考えても、コンクリート診断に関する、さまざまな専門的知識を有していないと、合格はかなり難しいと言えるでしょう。
コンクリート診断士の勉強方法
コンクリート診断士になるための勉強方法には、通信講座などの有料講座を受講する方法と、参考書や過去問を使って独学で勉強する方法があります。
また試験勉強では、試験内容を把握し、対策を立てることも大切です。
コンクリート診断士の試験内容
コンクリート診断士の試験では、コンクリートの劣化予測や評価および判定基準、対策の種類や補修・補強工法などについての一般的な知識と理解度が問われます。
試験はマークシート式の四肢択一式の問題と、論文形式の記述式問題から構成されていて、合格するためには、四肢択一問題と記述式問題、どちらとも基準点を超える必要があります。
有料講座を受講する
一般的にコンクリート診断士の試験の配点では、記述式問題にウエイトがおかれている、と言われています。
合格のためには、記述式問題をどのように攻略するのかが、カギを握っているのです。
記述式問題はとくに、文章の構成や表現方法など、その試験に合ったまとめ方やポイントが存在します。
有料講座を受講すれば、記述式問題も添削してくれるので、自分の文章の癖を把握できたり、まとめ方のコツを学んだりすることができます。
独学よりも費用はかかりますが、通信講座や短期集中講座など、有料講座の受講は、効率的な勉強の一助になると言えるでしょう。
独学で勉強する
市販されている問題集や参考書を利用して、独学で勉強することもできます。
問題集や参考書の多くは、過去数年分の問題が解答・解説と共に掲載されています。
分野ごとに分類されているものは、苦手分野の克服に役立つでしょう。
記述式問題の解答例が記載されているものもあるので、四肢択一式問題だけではなく、全ての試験内容に対応できます。
また、受験の際に必要なコンクリート診断士講習eラーニングの申し込みをすると、コンクリート工学会から出版されている「コンクリート診断技術」という参考書が送付されてきます。
この本は、コンクリート診断に関する内容を網羅しており、いわばコンクリート診断士のバイブルとも言える本です。
このほかにもコンクリート構造に関する専門書なども参考になるでしょう。
過去問を繰り返し解き、解説や参考書などで間違えた部分や、わからないところを確認することで、知識を習得することにつながります。
まとめ
コンクリート診断士は、コンクリートの安全性や使用性、耐久性を確保するために、劣化の状態を診断するエキスパート。
駐車場舗装や擁壁など、コンクリート工事は造園業でも多くの関わりがあります。造園業においても、コンクリート診断士は就職や転職、昇進などの場面で有利に働く資格と言えるでしょう。
難易度が高い資格ではありますが、しっかりと対策して勉強し、資格取得を目指していきましょう。